この約3カ月間、三味線かとうは開業以来の変革期を過ごした。三味線かとうの2階に東京で唯一の三味線ライブスペースChito-Shanを誕生させたのだ。
そのお披露目を6月4日に行い、各界の多くの方々から祝福を受けた。邦楽ジャーナル編集長、田中隆文氏の乾杯の力強いご挨拶に始まり、狭いスペースではあるけれど、シャイニング飛鳥組、バトンチーム中学生3人の高度な技術によるパフォーマンスが華やかにオープニングを飾ってくれた。曲は木乃下真市作曲『夢の都』。ギター福岡雅紀氏。三味線は? マ、サ、カ・・・そうマサカの山口真明だった(汗)。お客様はこの意外なパフォーマンスをとっても喜んで下さった。よしよし、滑り出し快調。
立席よりは良いだろうと設えた箱イスと箱テーブルにぎっしりお座りいただいたお客様たちはちゃんとお料理を食べて頂いたろうか? 歓談も楽しんでいただけたろうか?
中盤のミニライブでは、小山豊君と新田昌弘君の津軽三味線DUOに始まり、アメリカ、カリフォルニアのケビンメッツとマイクペニーによる自由な曲調の三味線にお客様が次第に和み、アフリカ、カメルーンのヴィンセントワッシー&ナナオ夫妻による三味線と太鼓&ヴォーカルのプレイに笑いの中、更に新田昌弘君が軽妙にリードする外人部隊を交えた6人全員によるこの上ない不思議な三味線パフォーマンスにお客様は予想をはるかに超えて感銘を受けたらしく、専門家も多い客席の大喝采をさらった。
おまけに予想もしていなかった浅野祥君が飛び入りで津軽じょんがら節を弾いてくれた。
約2時間のパーティはあっという間に過ぎて、最後は工藤菊水氏の音頭により賑やかに3本締めで締めて頂いた。ここまでが先ず祭りの始まり。
6月6日はいよいよライブスペースChito-Shanのこけら落としの初日『木乃下真市ライブ』。チケットはとうに完売で、それでも是非見たいと地方からの問い合わせに当日キャンセル待ちでも良いですかなどの電話の応答もあったり…客席は満杯立錐の余地もなく、その客席の真ん中を縫うように木乃下真市登場、まるでリングに上がる直前のボクサーのようだった。
撥を叩きつける木乃下氏の熱い意志と客席の息遣いが一体になり・・・一曲一曲、この場にいた人でなくては経験できない珠玉の瞬間の連続だった。木乃下氏は最後の曲の時、飛び入りを紹介した。踊正太郎氏だった。このサプライズに客席の興奮はピークに達した。二人の一曲は・・・もう言葉にならない。
木乃下氏が再びアンコールのため登場した時の大歓声は凄かった。そして最も大好きな『津軽三下がり』を弾く。静かに弾く木乃下真市、静かに聞くお客様たち・・・。しーんと静まりかえった中、あの美しい旋律だけがいつまでも耳に残る。
お客さま方には狭くてさぞ窮屈だったと思う。でも帰り際のお客さま方の嬉々としたお顔を見てほっとする。
さて6月11日はこけら落としの第2夜、『本條秀太カライブ』だ。・・・・・ここでちょっと一息。
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