店主日誌
2008年12

12/2(火)

 11月は20周年謝恩セールのことに集中してそのご注文やお直し物にまだまだ追われてあっという間に過ぎた。 先日、浅草千束の大鷲神社の酉の市に出かけた。三の酉にしては温かい夜で土曜日だったこともあり、お祓いの鳥居をくぐるまでの30メートルほどの距離にたっぷり1時間はかかった。境内に入ってからも、少しでも年改めの幸運にあやかりたいと願う人の寿司詰め状態は変わらず、脇道にそれて早々に脱出。

 いよいよ師走に入り今年1年の総決算と、そして来年以降の計画も少しずつ・・・。

12/6(土)

 木枯らし2号と思しき風が昨夕吹き荒れた、そして激しい夜の雨。早朝、本格的な寒波襲来を伝える韓国テレビの実況放送。

12/24(水)

 今夜はクリスマスイブ。町なかに出ていないせいもあるが、イルミネーションの輝きの少なく感じる年の瀬。世界不況の波がひしひしと押し寄せて寒気が例年になく冷たい。久しぶりにアンデルセンの『マッチ売りの少女』を思い出す。降りしきる雪の中で一本のマッチをこすって見る、永遠の夢。

12/29(月)

  今日で仕事納め。午前中に大掃除をして終えるつもりだったが、昼頃フランスから来て明日帰国する前にエレキの三味線が見られないかという電話にどうぞおいで下さいと即座に返事をしてひとりで待っている。

  さすがに世間は仕事を終えたか午後以降、電話の音も途絶えた。抜けるような青空の静かな昼下がり・・・うつらうつらかな。

12/31(水)

 空碧く空気清澄。暗い世相だが、それを吹き飛ばすかのような大晦日にふさわしい見事に晴れた日だ。

 三味線かとうの今年の出来事の最たることは、開店20周年を迎えたこと。そしてその記念に8月末に1週間連続三味線ライブを敢行したこと。

 誰も知らない三味線店が20年前に誕生して以来、ここまでやって来られたのはひとえにたくさんのお客様のご愛顧によるもの。相変わらず、風が吹けば吹っ飛びそうなマッチ箱のように小さな店ではあるけれど、スタッフは全員一生懸命頑張ってイマス。

 夏のライブはその三味線かとうの全精力を傾注した一大イベントだった。初日の『本條秀太郎 with J-TRAD ATAVUS』に始まり、マホロバガクザ×ヒビキメロヲの『三味線Rock Night』、3日目は『上妻宏光スペシャル』、中日は『国本武春ソロライブ』、後半に入って、はなわちえ×松橋礼香の『津軽三味線女性チャンピオンTOKYO決戦』、そして津軽三味線の最若手、浅野祥×柴田雅人×新田昌弘×小山豊の『東京バトルUリターンズ』、楽日は昼が『木乃下真市ソロライブ』、夜がパーカッションの海沼正利とドラムの高橋まことを交えての『木乃下真市Project2008』。連日満員の盛況でまさしく夢のような7日間だった。

 よくいろんな人から何でこのようなコンサートをやるのかと聞かれたが、私はいつも答えてきた、何よりも私が目の前でこの眩しくて素晴らしいプレーヤーたちの音を聴きたいからと。更に、それを一緒にお客様にも聞いて頂いて喜んでいただく顔を見るのが至上の歓びだと。ロビーでお客様がお帰りになるときのあの笑顔たちは何物にも代えがたい。 素晴らしいプレーヤーと沢山のお客様との出会いのこの7日間を何物にも代えがたいと思う。

  ライブの1日1日の経過にはいろんな事があった。その様子を少しでも来られなかった全国のお客様に伝えたいと、私が慣れない手つきでリハーサル前や本番後の様子などをブログの『スタッフ通信』に刻々と写真を送った。もちろんちょっとしたトラブルもあった。三味線かとうのスタッフは張り切りすぎて足を痛めたり、受付が足りなくなって急遽、台湾や名古屋から来て頂いたお客様に手伝っていただいたりとか笑い話になるようなこともいっぱいあった。

 お客様は全国各地から早くに予約を頂いた。1週間連続で来て頂いた方や外国からのお客様も何人もいた。連泊の為、少しでもお客様の経費を浮かそうと私が山谷の綺麗で安いビジネスホテルの下見をして、そこに泊っていただいた方も沢山いた。

  2008年のこの1年間、お客様を始め、素晴らしい演奏家の皆様、三味線かとうの仕事を応援して下さった本当にたくさんの皆様、いろいろお世話になりまして有難うございました。スタッフ全員を代表して御礼を申し上げます。来年もよろしくお願い申し上げます。

 来る2009年が世界中の皆様の為に良い年でありますように、心よりお祈りいたします。