店主日誌
2005年9

9/27
(火)

 先日、この店主日誌をよく読んで下さるという女性のお客様から魅惑的なまなざしで「さぼらないで、ネ。」と言われて、宿題を忘れた子供のようにおずおずとキーボードを取り出し,相変わらず不器用ながらたたき始める。

 今週の土曜日はちとしゃん亭。出演者も演目も決まった。初めて人前で三味線を弾くという人あり、弾き語りの大人の歌謡曲あり、前回ちとしゃん亭の前夜、自転車同士でぶつかりケガをしたため急遽欠席したが、5ミリ曲がった鼻の名誉の勲章ひっさげ復帰第一戦のタフネスファイターあり。もちろん津軽三味線400人の大合奏もある、そいつはムリか・・・。しかし気概は一騎当千のやるき三味マンたちだ。あっ、美人の女性もひとり居た。
 今回は何といってもワタクシがお久しぶりに朗読を語るノダ、しかも今静かな人気の絵本、『あらしのよるに』。嵐の夜に真っ暗な小屋で出会ったオオカミとヤギの心温まる友情物語だ。下手でもなんでも一生懸命カタルぞ!
 そしてゲストは『伝の会』、杵屋邦寿さんと松永鉄九郎さんのお二人。大好きでしょうがない江戸の長唄を現代人にどうしたら面白く伝えることが出来るか、毎日寝ても覚めてもそればかり考えている。初めての客様も多いと思うが、このお二人の粋でお洒落な演奏とおしゃべりを聞いて大いに幸せになろうではないか。

9/8
(木)

 今朝、納品予定の三味線を胴につなげようとしたら皮が破けていた。良く張れていただけにガックリ。同じく、お客様から預かって裏だけ張るはずだった三味線の表が破けた。お預かり中の品物はこちらの管理不行き届きと言うことで無料で張り直すことになる。昨日、超大型台風14号が日本海に抜け見事なフェーン現象で気持ちよく晴れ渡った一日、よくはれたこういう時は三味線愛好家の皆様、くれぐれも皮には気をつけられたほうが良い。

9/1
(木)
 昨夜の東京新聞夕刊に、8月20日に行われたハービー・ハンコック プロデュースによる『東京JAZZ』の記事が掲載されている。

 〜初日のトップを飾った「上妻宏光・東京JAZZスペシャルユニット」は、見事だった。和太鼓で幕が開き、三味線の三重奏に「津軽よされ節」。一転して「アランフェス」などのメドレーに続いて、「日本から発信できるサウンドを」と言う上妻のオリジナルの「宴」、さらに「津軽あいや節」「佐渡おけさ」などの民謡をつないだメドレーで、たたみかける。津軽三味線の音が、ギターやホーンセクションに調和して作る不思議な一体感は、男性的でかつ繊細で鮮やかだった。〜(渡辺芳子=音楽ジャーナリスト)