津軽三味線ライブCD

津軽三味線全国大会優勝者4人の白熱バトル・ライブを完全デジタル収録。
まったく新しい津軽三味線の誕生!

写真/検見崎誠、デザイン/川村たつる

@津軽の響き 渋谷和生/進藤正太郎   …………………17:55
A津軽協奏曲U 
   木下伸市/上妻宏光/P.江草啓太/Per.海沼正利…09:51
B津軽じょんから節 進藤正太郎  …………………………06:10
C津軽じょんから節 上妻宏光  ……………………………04:29
D津軽じょんから節 渋谷和生  ……………………………05:54
E津軽じょんから節 木下伸市  ……………………………06:27
Fじょんから乱れ弾き
   進藤正太郎/上妻宏光/渋谷和生/木下伸市  ……13:17
G津軽三味線「六段」合奏
   進藤正太郎/上妻宏光/渋谷和生/木下伸市  ……04:15
                           Total Time 68:18

  TSUGARU MODERNは、1998年7月18日、19日の2日間、〈津軽三味線チャンピオンTOKYO決戦〉と銘打ち、東京・ムーブ町屋ホールに満員の観客を集めて開催されたコンサートの模様を収録したライブCDである。彼らは皆、弘前で毎年開催される津軽三味線全国大会に於いて、2年以上連続優勝したチャンピオンであり、今、最も輝いている津軽三味線プレーヤ一達である。流派を越え、一個のプレーヤーとしての技のぶつかり合いが、四者四様の『津軽じょんから節』のあと結晶したパワーとなり、『じょんから乱れ弾き』に向って、静かにエキサイティングに炸裂してゆく。

 

 

進藤正太郎 <Shindoh Shoutaroh> 
6歳より津軽三味線を始め、93年に16歳で津軽三味線全国大会に初出場、A級入賞で衝撃的デビユーを飾る。更なる「津軽」の音を求めて、青森の山田千里氏の下で研鑚を積む。そして97、98、99年度津軽三味線全国大会A級チャンピオンに輝く。

上妻宏光 <Agatsuma Hiromitsu>
80年、6歳より津軽三味線を始め、少年時代よりその才能が注目される。91年にロックバンド「六・三・四」のメンバーとなる。95、96年度津軽三味線全国大会A級2年連続優勝。その現代的な演奏センスは群を抜く。

渋谷和生 <Shibutani Kazuo>
70年、青森県生まれ。86年山田千里氏の内弟子となる。90年、津軽三味線全国大会でA級チャンピオン。92、93、94年度同チャンピオンとなり、大会初の三連覇を成し遂げる。その力強く豪快な撥さばきに期待が集まる。

木下伸市 <Kinoshita Shinichi>
10歳より三味線を始める。86、87年度津軽三味線全国大会A級2年連続優勝。93年に木下伸市グループを結成し、津軽三味線ロックを発表。同年・佐藤通弘、94年・渡辺香津美、95年・林英哲とのバトルコンサートを行い、熱狂的な掲采を浴びる。



◆三味線「かとう」主催の「津軽三味線チャンピオン」からはすでに木下伸市がスターで登場しているが、私は毎年、このコンテストをたのしみに拝見している。これは昨年夏の実況録音盤。ゲスト扱いの木下伸市のほかに3人の名手が競演した。ピアノやパーカッションをまじえた創作曲あり、4人全員いりみだれてのセッションあり、圧巻は、「津軽じょんがら節」を4人それぞれ、個性豊かに演奏する。これはもう、分野をこえての音楽の美である。奏者は皆、若い人ばかり。たまには三味線音楽もいいですよ。

【FMfan別冊オーディオ・ベーシック1999年Vol.11 文:青木誠】


◆ひょんなことから津軽三味線のCDをもらった。タイトルは「TSUGARU MODERN」東京は町屋にある三味線店が主催したコンサートをデジタル録音した自主制作盤だ。
 普段、このテの音楽は滅多に聴かないのだが、演奏家四人のプロフィール写真に惹かれて(みんな若くてなかなかイイ男なんだ、これが)聴いてみたところ、これが意外にも面白い。特に四人でセッションを繰り広げる「じょんから乱れ弾き」は大迫力で、そこいらのロックバンドより、断然カッコイイ!! なんでも演奏者は、四人とも弘前で毎年開催されている津軽三味線全国大会で、二年以上連続優勝している若手スターなんだとか。プロフィールを読むと、ロックバンドを組んでいたり、ジャズミュージシャンとライブをやっている人もいて、とても興味深い。
 そんなわけで、近頃よく聴く三味線CD。いつもはジャズやロックしか聞こえてこないわが家から、朝な夕なに流れ出る津軽三味線の音色に、ご近所サンはさぞ驚いているに違いない。              

【週間金曜日 音のひろば1998/11/6号 文:岡崎香 】より


 津軽というより、音色を壊さない工レキの開発で三味線界に新たな展望を拓いた〈三昧線かとう〉の一大プレゼンテーション。これまでも「TOKYO決戦ライヴ佐藤通弘VS木下伸市」なんて凄いテープを出していたが、これは2年以上連続優勝者4人という豪華版。といっても賞を競うコンペではなく、津軽三味線の可能性を魅せるぺージェント。津軽勢の渋谷・進藤の民謡もの@と、ピアノとリズム伴奏による木下・上妻の即興Aを聴き比べただげで、後はもうなにが来ても驚かないという気持ちになってしまう。が、どうして、凄いのはソ口の方がそれぞれの個性が際立つこと。といってもそこは津軽。どんなに新しいことに挑んでも、ワンフレーズ聴いただけで音の住所が判ってしまう。ブルースがそうであるように、不自由さをハンディと感じさせない開放感こそ、津軽最大の魅力なのだろう。4人とも、この大きなフレームの中で、思いっきり自由に羽ばたいている。(星)

【邦楽ディスクガイド(音楽之友社):星川京児+田中隆文/編】より