「邦楽ジャーナル」2009年5月号より

三味線かとう、多目的スペース
「Chito-Shan」6月オープン


 東京・荒川区の三味線店「三味線かとう」が創業21年目を迎え、店舗の2階に多目的のレンタルスペース「Chito-Shan」を6月にオープンさせる。

 三味線かとうは20年の歴史の中で37回にわたって「ちとしゃん亭」を企画し、三味線を中心に様々な楽器の生演奏などを気軽に楽しんでもらおうと、年に1〜2度、14畳ほどの1階店舗をライブスペースに早変わりさせ、無料開放しながら人々を楽しませてきた。そして浪曲の国本武春や津軽三味線の佐藤通弘、上妻宏光など、今や第一線で活躍する多くの演奏家に光をあてバックアップし続けてきた。

 100年に1度といわれる不景気の中で迎えた21年目。店主の加藤金治氏は、地域に根づいた店を守りながら「ちとしゃん亭」のあり方を見直そうと決意。今まで1階部分だけを借りていた3階建の建物を買い上げ、2階スペースをリフォームし45平米のフラットな空間を確保。平台を用いてステージを設けることも可能にした。

 加藤氏は、「一般の方には自由な発想で利用して頂きたいですが、私たちがここから発信していくのは三味線に関する企画のみにしようと思います。今後は月に一度の割合で三味線メインの本格的なライブを行う予定で、これから出てくる若い三味線奏者たちがここで出会って交流を深め、クリエイティブなものを生みだせるよう刺激的な場になってくれたらうれしい」

 5月16日に国本武春と福士豊秋ファミリーを迎え、1階店舖では最後となる38回目のライブ「ちとしゃん亭さよなら公演」を行い、Chito-Shanオープニング記念企画としては、6月6日に木乃下真市ライブ、11日に本條秀太郎ライブを行う。さらに7月以降は、踊正太郎、二代目高橋竹山、木村俊介&小野越郎、秀々、国本武春、浅野祥、柴田雅人、新田昌弘、小山豊、福士豊秋ファミリー、はなわちえ、ワッシー、ケヴィン・メッツ、AUNなどのライブを順次開催する予定だ。(生)