2001年3月23日(金)読売新聞夕刊 Eパレット
リサイタルを開く津軽三味線の
木下伸市
クラシックとも融合図る
ここ数年、新しいタイプの津軽三味線を生み出そうとする活発な動きがある。そのけん引者の一人だ。ロックやジャズなど異なる分野の音楽との融合を積極的に図る、好奇心豊かな音楽家が、今度はクラシックに初めて挑戦する。
四月二十日、東京・新宿の東京厚生年金会館でリサイタルを開く。そこでおなじみの民謡やオリジナル曲をクラシック風にアレンジして披露する。自身と和太鼓、笛といういつもの布陣に加え、今回はバイオリンやチェロなどの弦楽器を新たに加えた編成で臨む。
「高度に完成されたクラシックと即興性を重んじる津軽三味線が融合するとどうなるか。単に話題だけに終わらない、新しい一つのサウンドが提示できると思います。」
和歌山県出身の三十五歳。芸に縁のあった両親の影響で民謡を覚え、十歳から津軽三味線を始める。津軽三味線の全国大会で優勝も経験した。同時に、ロックバンドを組むなど幅広く活動している。
最近は”ネオ津軽三味線”の担い手としての側面に光が当たりがちだが、一番大切にしているのは正調の部分で研さんを積み続けること。
「いろいろやるのも津軽三味線を一人でも多くの人に知ってもらいたいから。津軽三味線というと古臭く思われがちだが、現代にも立派に通じる楽器であり、音楽だと思う。それを伝えたい」
昨年は津軽三味線全国大会で、歴代優勝者らが競う山田千里杯で見事に優勝。今年は五月に大会が行われるが、雪辱を期す地元勢を退け、連覇を狙う。TEL 03-3796-9999(チケットぴあ) |